
各種配管に使用される溶接式管継手の重要な性能の一つに耐圧性能があります。管継手に求められる耐圧性能は、最高使用圧力条件下や接続される鋼管と同じ使用圧力に耐え、漏れがないことが要求されます。
鋼管の場合、個々の製品での水圧試験特性又は非破壊試験特性(水圧試験の代替で実施される非破壊試験)の実施が規格で求められていますが、管継手の場合、代表製品による形式検査により評価されます。
この記事では、日本産業規格(JIS規格)で規定される管継手の耐圧性能試験について解説します。
弊社で扱う管継手のJIS規格(①JIS B 2311:一般配管用鋼製突合せ溶接式管継手,②JIS B 2312:配管用鋼製突合せ溶接式管継手,③JIS B 2313:配管用鋼板製突合せ溶接式管継手)での耐圧性能試験は以下のとおりになります。
規格 | 条件 |
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JIS B 2311 |
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JIS B 2312 |
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JIS B 2313 |
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形式試験は製造範囲を基に、以下を考慮して実施します。
- 管継手の形状(ロングエルボ,ショートエルボ,同心レジューサ,偏心レジューサ,T(径違いTは,同径Tで代表してもよい。)及びキャップ)
- 管継手の外径,厚さ
- 管継手の製造方法
管継手の材質については、鋼種の代表的なものについて実施するように当該JIS継手規格で規定されております。鋼種の引張特性に、耐圧性は比例することから、代表的な鋼種で実施した耐圧性能検査の結果は、その他の鋼種にも使用できるために、このように規定されていると理解しております。
一つの形式試験の結果に対して、外径及び厚さは以下の条件の範囲を認めることができます。
- 管継手の径の呼び:形式試験を実施した管継手の径の呼びの1/2~2倍
- 管継手の厚さ/外径:形式試験を実施した管継手の厚さ/外径の1/2~3倍
形式試験は、管継手メーカーとして技術的な基礎となるデータを得られることから大きな製法変更等が無い限り、以前に取得した結果を用いていますが、近年では、JISマーク認証の再審査での製品試験でサンプリング製品での耐圧試験が3年ごとに実施されるようになっています。この時の様子の写真を示します。※最上部写真もこの時のものです。
管継手の形状、寸法は、適用規格等で規定されており、その寸法どおりに製造すればいいように思われますが、ベンカン機工は、更に耐圧性能を考え、図り知れない細かな設計で管継手を製造しています。
お客様の仕様、用途などの情報に加え、入手できる材料、納期、製造数、工程状況等を考慮し、成形方法が決定され、耐圧性能が発揮できるような管継手寸法が維持できるよう、成形条件や材料寸法等を現場へフィードバックしています。
ASTM又はASME規格を適用した管継手の場合、ASME B16.9によるDesign Proof Testによる耐圧性能評価にも対応しています。また、ASME規格をベースとしたFEM解析(有限要素法:Finite Element Method)を用いた管継手の設計も可能です。
ベンカン機工は、耐圧性能を技術・科学的に評価できる体制を持っています。
目に見えない技術・品質で顧客への信頼を維持し、世の中の生活や産業活動の基盤を支えています。
技術本部
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