ベンカン機工の主要製品である溶接式管継手の加工技術において、特に強みであるのが「塑性(そせい)加工」です。
塑性加工とは、材料に大きな力を加えて変形させることによって目的とする形状に成形加工することです。
そして、その塑性加工の技術発展のために活動しているのが、私が会員として所属する「日本塑性加工学会」です。
「日本塑性加工学会」は、昭和26年に始まった塑性加工研究会を前身に、戦後の日本の産業界の発展を技術面、学術面で支えています。
大学教授を始め、専門家や企業の技術者など、あらゆる会員が所属し、現状に満足することなく、講演会、セミナー、研究会やテーマ毎の分科会などの活動を通じて、塑性加工技術の深化、発展を図っています。
先日、その研究例会が弊社桐生工場で開催されました。
チューブフォーミング分科会の主査である東京大学 栗山 幸久教授
私と「日本塑性加工学会」との出会いは、旧日本弁管工業株式会社に入社した折に新入社員教育時に遡ります。
その時には、詳細な技術的内容は判りませんでしたが、当時の上司、先輩達より様々な書籍・文献で教育された内容が「日本塑性加工学会」からのものでした。
今では正会員として、主に「チューブフォーミング分科会」の研究会に参加させて頂き、様々な啓示と刺激を受け、ものづくりの参考にさせて頂いております。
今回は、グループ会社である株式会社ベンカンのメカニカルジョイントの製法に興味を示していただき、見学も兼ねて弊社工場で「チューブフォーミング分科会」の研究例会の開催が実現しました。
群馬県の本社併設の桐生工場は、ベンカンのMJ工場も併設しております。そのため、双方の工場をご見学いただき、その後、各話題について、発表が行われました。
その中で私も「エルボの成形理論」について、お話をさせていただきました。
その後、工場内を実際に回っていただき、実際の塑性加工の様子をご覧いただきました。
皆さん、加工されている所をご覧になることは多くないため、非常に熱心に、時には議論を交わしながらご覧いただきました。
学会メンバーの一員である株式会社三五の技術顧問である加藤 和明様より、弊社工場での分科会開催について、ご感想をいただきました。
「〝ハンブルグ曲げ技術〝の偏肉の無い(周方向からの材料移動)曲げ技術に常識を破られました。〝ハンブルグ曲げ技術〝は古くからの技術ということでありますが、この技術を大切にされ、さらに改良開発に取組まれている姿勢は素晴らしいと思いました。工場見学では大口径の曲げ成形加工の様子と共に、改めて技術の素晴らしさと大型部品の成形技術に驚かされました。今後ともよろしくお願いします。」
株式会社三五 加藤 和明
加藤様は現在、これから出版される「チューブフォーミング」本を執筆されている方です。
特に鋼管の曲げの執筆を担当されていて、ベンカン機工のマンドレル曲げについてもその中で書いて頂く予定です。
また、株式会社三五様は、大手自動車部品メーカーで、特にトヨタ自動車とは、豊田自動織機の時代から部品を納められており、薄肉の鋼管曲げでは、ベンカン機工が出来ない様な曲げ半径が非常に小さいものも曲げる技術を持っておられる会社です。
今後も、こういった素晴らしい知識や技術を持つメンバーと共に、産業界の発展のため、また自社技術の研磨のため、研究を続けてまいりたいと思います。
技術品質保証部 吉本
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