エルボの成形理論~ハンブルグ曲げ~

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管継手の製造方法には、用途に合わせてさまざまな方法があります。

今回は、エルボの成形で用いる「ハンブルグ曲げ(熱間拡管マンドレル製法)」について、検証データを交えて解説したいと思います。

ハンブルグ曲げの歴史

ハンブルグ曲げは、1916年にドイツのHambirger Bohling社がエルボ成形の特許を取得したことにより始まり、その20年後にアメリカのチューブ・ターン社が改良特許を取得。その後、全世界でこの製造方法が広まりました。
日本では、ベンカン機工の前身である住友金属工業株式会社と日本弁管工業株式会社が1950年代に国内で先駆けて本格的な製造を開始しております。

基本理論

通常、鋼管を曲げてエルボを成形するとエルボの背側(外輪)の肉厚が薄くなり、腹側(内輪)の肉厚が厚くなります。しかし、鋼管を拡管しながら曲げることによりエルボ全体の肉厚を均一に成形出来るという理論です。

成形の概要

ハンブルグ成形は、鋼管を加熱しながら拡管することにより、均一な肉厚のエルボを成形する方法です。
加熱方法には、炉内で全体加熱と拡管部だけを局部加熱とする方法が有り、図は、炉内加熱方法での概要です。

素管案内部:
マンドレル中心に素管を合わせます。
拡 管 部:
内輪部を周方向に伸長し、軸方向に圧縮成形しエルボ形状に成形します。
案 内 部:
成形時に発生する曲がりを抑制して形状を整えます。

全体加熱とは、ガス燃料等の加熱炉を使用し素管全体を加熱し成形することで、局部加熱とは、高周波誘導加熱等で素管の局部を加熱し成形することです。

肉厚傾向と曲半径の関係

ハンブルグ曲製法では、下記グラフの曲線上で均一肉厚となります。曲線の上部では、外輪側(背側)が厚く成形され、 下部は、内輪側(腹側)が厚く成形されます。

エルボの変形量

エルボ全体に対しての加工率を示したものです。

このグラフは、成形終了後の素管軸方向伸縮変化(右側)、周方向伸縮変化(右軸)および肉厚増減変化(左軸)を示しています。

上部の凸形状の曲線は、周方向伸縮変化を示しており、エルボ内輪側が約80%程度伸びていることが判ります。(伸び率=1+0.8=1.8)

中央の凹形状の曲線は、軸方向伸縮変化を示しており、エルボ外輪側が約-45%程度縮んでいます。(収縮率=1-0.45=0.55)

そこで、伸び率x収縮率=1.8x0.55=0.99となり、内輪部の面積変化率は約99%となりますので、下部の肉厚増減率変化が0であることと一致します。

エルボの他の位置についても上記計算と同様に、(周方向伸び率)x(軸方向収縮率)≒1となり、製品全体にわたって肉厚が均一であることが判ります。

成形後のエルボ

上部で説明した通り、内輪・外輪を含めて均一な肉厚に成形されています。
そして、軸方向に約1/2縮む、周方向は、約2倍に伸びています。

背部については、殆ど素管時にケガキ寸法と変化していません。

 

代表的なマンドレル形状は3種類

現在、代表的なマンドレル形状を分類すると3種類になります。

1)丸曲げ、2)縦楕円曲げ、3)横楕円曲げ

1)丸曲げ

丸曲げは、現在でも多くのメーカーで使用されている形状です。

丸曲げの場合は、成形されたエルボが既に円形で有るため、楕円曲げで実施する矯正工程が省略出来ると言う長所が有ります。

特に、肉厚の厚い製品では、マンドレルの負担が少ないことあり丸曲げを使用されています。

 

 

 

 

2)縦楕円曲げ

縦楕円曲げは、予め矯正を行って真円度の高い製品を製作する為に改良されたマンドレル形状です。

また、縦楕円マンドレルの長所は、90度より大きな角度に成形したエルボを縦方向に矯正しエルボの端に直管部を付けることにより配管組み立て時に溶接を容易にしたネック付きエルボの成形に適しています。

 

 

 

3)横楕円曲げ

横楕円曲げは、高い真円度とエルボ内輪部の増肉を考えたマンドレル形状です。

マンドレル成形では、エルボ内輪側を軸方向に圧縮し、周方向に伸長する成形を行うため、横楕円にすることによりこの成形の制御がより容易になり、安定的な肉厚の製品を成形できる様になります。

 

 

ハンブルグ曲げは、1916年の基本的な技術の確立以降、その技術をベースに各社で改良し真円度と肉厚の均一性が高い製品となってきています。

また、近年は火力発電所の高出力化に伴い、より高温・高圧に対応した今までマンドレル成形が難しかった高クロム系の大径・厚肉製品の成形も実施されています。

技術部 吉本

 

 

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